Yoga & Relaxation Salon in Otaru ~ Candrika ~
















 コラム 

2012/4/11 「泊り客の多い旅館」
 
   
 この間買ったヨガの本の中に素敵な詩が載っていました。皆さんにも知って欲しいので、この場でお伝えしたいと思います。

 
この
人間の
一生って
泊まり客の
多い旅館です
一日中いろんな
お客さまが訪れます
喜びも絶望も卑劣も束
の間の意識もやって来ます
どんなお客もお客さまならば
心から歓迎してお迎えしましょう
一時の滞在を楽しんで頂きましょう
不安や誤解や悲しみをまき散らしても
たとえ宿が荒らされ大事な家具が盗まれても
それよりなにより喜んで頂くことが大切です
悪意や羞恥心や闇の思考が団体でやって来ても
玄関前に並んで笑顔でお迎えするといたしましょう
ようこそお待ちしておりました。  ささ奥へ  奥へどうぞ!
お客さまはあなたとの出会いを歓び分かち合うために来たのです
あなたがあなたであるためにあなたの分身が遠くからやって来たのです

ルーミー

  
 私たちは時に怒りや苛立ちや不平や不満などに悩まされます。けれど、歓びや前向きな感情と共に、それは一時の滞在に過ぎないと考えられたら、とても楽に生きて行けるように感じませんか?

 常に良い感情だけで過ごすことも出来ないし、悪の感情に支配され続けることも出来ません。ならば、どんな感情もありのまま認めて、なるべく客観的に、まさしく“泊まりに来たお客様”のように見ることが出来たなら、大きな視野で色んなことが見えてくるのではないかな~と、この詩を読んで思いました。

 悪い感情が心の中を支配したとき、罪悪感から自分を正当化しようとし自分の都合の良いように、ものごとを歪めて見てしまいます。人のことなら私たちは悪いこと、良いことをハッキリと判断できることが多いのに、自分のこととなると、エゴがそれを曇らせてしまいます。けれど、この詩のように客観的に見ることが出来れば、その感情は自分のことしか考えていないから起こるものだと気付き、自分がもし反対の立場だったらどう思うかを考えれば答えは明かになるのではないでしょうか。

 4月は何か新しいことをはじめようとする時期でもあり、人事異動などで環境が変わったり、お子様の進学など、色々な選択をしなければならない時期でもあります。

 自分が想定しない出来事が起きたとき、私たちは自分の都合で善し悪しを決めて、それに惑わされてしまいますが、その感情も泊まり客のひとりだと思えば、うまくやり過ごすことが出来そうな気がしてきます。

 だからと言って無理にポジティブに考えようとするのではなく、ポジティブな感情を否定してしまう気持ちがあるならば、ネガティブな感情を客観的に見て、何故自分はポジティブに考えたくないのか、じっくりと見てみる時間が必要なのだと思います。無理に追い返そうとしても、そのお客様は悪態を付きにまた戻ってくるでしょう。

 どんな感情も変化せずにずっと居座ることなんて出来ません。一生悩み続けることも出来なければ、一生ハッピーに過ごすことも出来ません。ただ、自分の感情をピックアップして「私は小さい頃からいつもこの問題で悩んでいた」と思うだけであり、24時間ずーっとその問題だけを考えて生きている訳ではありません。

 それなのに私たちは多くの場合、自分で引き出した感情がずっと続いているものだと考え、自分はずっとその問題に悩まされていると思いこんでいるのです。エゴは自分に都合の良いようにしか考えません。ポジティブに考えられないというのも、ひとつの断片的な感情であるにも関わらず、常にその感情に支配されているかのように捉えがちです。

 その感情は一度去っていなくなったのに、また自分が呼び戻しただけなのです。そのお客様は旅館にずーっと居座っていた訳ではなく、居心地が良くってまたいらっしゃった訳です(笑)。旅館がリニューアルされていれば、そのお客さまは自分には相応しくない、合わない旅館だと思って来ないかも知れないのに・・・

 誰かの相談にのった時に、何故そんなに頑なに思いこんでいるのだろう?もっと違う側面から見ればもっと楽に生きられるのになぁ・・・と思ったことありませんか?そうなんです、大抵の悩みは考え方を変えるだけで即解決することばかりなのです。そんな風に簡単に言うけれど・・・と、今思ってる方もいらっしゃるでしょう。「あなたは幸せだからそう考えられるけれど、私の辛さ、大変さなんて経験していないのだし、そんな簡単にはいかない!」と思っている方もいることでしょう。

 ヨガと出会う前の私はそうでした。落ち込んだ時は自分だけが不幸な人間かのように思い、自分より不幸じゃない人がいれば安心し、自分よりも幸せそうな人がいれば嫉妬していました。それが正しいことのように、当たり前のことのように思っていました。

 でも物事に絶対はない、常に移り変わっていくということを実感し、徐々に考え方、受け止め方が変わってくると、自分だけが不幸とか人と比べて幸せだとか、その考え自体が自分を苦しめるのだと気付いたのです。周りを変えようとしたり、周りで自分を判断するのではなく、自分を変えようと思えるようになりました。

 出来ない、無理だと思っているから出来ないし、無理なのだと気付きました。出来るまでやればいいだけの話なんです。今は無理かもしれないけれど、明日には数ヶ月先には数年先には出来るかもしれない。だけれども、多くの人は出来る保証がないとやらないですよね。絶対出来ると言われれば大金をはたいてもやるのに・・・。みんな自分だけは楽して結果だけは得たいという思いに支配されているのです。「あなたも簡単に痩せられる」という広告に引っかかってしまったり、マスコミでこれが痩せると聞けばその食材を買いあさったりするのは、効果が保証されていると勘違いするからです。

 でも、実際そういうブームってあとから詐欺だとわかったり、何の効果も実証されていなかったりすることがほとんどですよね。何故、そういうものだとわかっていて踊らされるのか・・・。という私も塩麹ブームに乗って手作りしてますけれど(笑)
ま、これは痩せるためとかではなく、健康にいいし、何より美味しいからやっているので、別にブームが去っても作り続けると思いますが。

 話を元に戻して・・・旅館を良いお客さんで埋め尽くしたければ、良いサービス、いい料理、良い設備を提供しなくてはいけないように、常に自分自身を磨き続けなければならないと思います。自分には無理だとか言い訳ばかりしていると、そういうお客様ばかり来るようになり、旅館の評判も落ちてしまいますよ~、なんて。

 だから、この詩を時々思い出して、自分を磨き、感情をもてなして、自分らしく生きていきたいなぁ~と思うのでした。 合掌