Yoga & Relaxation Salon in Otaru ~ Candrika ~
















 コラム 

2013/6/19  「ゲシュタルト崩壊」
 
  
 気がつけば今年も半分が過ぎようとしております。半分を過ぎて思うのは、今年の私のテーマは「痛み」だということ。生徒さんの中にも腰痛だったり、膝だったり、腕だったり、なぜか故障する人が今年はいつもよりも多い気がしますし、私も去年腕を痛めた経験から、「痛みから何かを学びなさい」と試練を与えれられているようなそんな場面が多いのです。

 最近出会った本「病気は才能」という本にこんな言葉が書いてありました。

 『病気には、そうならざるを得なかった理由があります。病気を悪いことと決め付ける前に、この理由を丁寧に探っていくことがとても必要だと私は考えています。』

 『自らの病気としっかり対峙し、見事に克服されていく方には、病気が治ってしまうだけではなく、その人本来の自分らしさをも獲得していくという共通点があったのです。このことから私は、病気とは、本来の自分らしさを思い出すためのプロセスなのではないかと考えるようになりました。』

 『本人も気づかない才能が、
 本人にも気づかない生活上の制約によって抑圧され、
 本人にも気づかない葛藤をカラダに生み、
 それが、カラダの症状として表現されてしまっている・・・』

 自然法則の基礎的な原理として「エネルギー保存の法則」というものがあるそうです。ある部分でエネルギーがプラスになれば、どこかで同じ量のエネルギーがマイナスになるという、エネルギー全体の量は変わらないという法則のことで、『もし、それが人間のカラダにも働いているとするなら、病気のエネルギーも何かに変換してやらなければならないことになります。そして、私は、そのエネルギーをあなたの才能へと変換することは可能だと思うのです。今は「病気」や「不調」というカラダの内側でしか表現されていないエネルギーを、上手にカラダの外側へとシフトすれば、それは、その人の「才能」となりうるのです。』

 それから、私たちは忘れがちですが、私たちの体は常に新陳代謝していて、細胞は生まれ変わっているのです。ほんの一部を除いて、一年間のうちにまるっきり入れ替わってしまうそうです。なのに、なぜカラダの不調はなくならないのか?そこに心と体がつながっている証拠があると著者は言います。

 『つまり、それは「あなたの記憶が、あなたの新しく生まれてくる細胞にこれまでの記憶を伝えているから」なのです』と。

 この文章を読んだとき、ドキっとしました。自分が下半身が太めだということは、ヨガをしていてかなり改善されているにも関わらず、そのイメージを払拭できないでいる理由の一つに「思い込み」があるとウスウス感づいてはいましたから。1年ですっかり入れ替わっている細胞に自らそうなるようにメッセージを送っているのだとしたら・・・ゾっとしませんか?

 周りでもよく「私は常に肩がこってひどいんです」とか「私はそういう体質なんです」とか「私は生まれつきここが弱いんです」などと聞きますが、そう言っているとき、本人に自覚はないと思いますが、傍から見ているとまるでそれが自慢であるかのように聞こえてしまうのが不思議でした。自分はこういう人間という肩書きを持っていると人は安心するんですよね。それがたとえ病気という悪いものであっても、「わたしという人間はこういう人間です」と人に言えるものがあるほうが自分が固定されている感じがするからでしょう。

 たぶん、私も下半身が太いということを話すとき、恥ずかしいことを話すというよりは自慢気に話していたような気がします。下半身デブとか肩こり、腰痛もちなどは一過性のものかもしれないのに、それがあることが当たり前というか、それがあるから自分だという思い込みがあると思うのです。

 もし私が「自分のことはよくわからないんです、だって常に新陳代謝されていますし、1年前の私とは物質的に違いますから・・・」なんて人に言ったとしたら「この人大丈夫かな?」って思われてしまいますよね~ (笑)

 思い込みをじーっと見つめていくと「本当かな?」、「誰が決めたことなのか?」とか、「誰と比べて?」「それは生まれつき?」などと、がんじがらめになっていた心がふっと解ける瞬間がやってきます。本にはそれは「ゲシュタルト崩壊」というと書いてありました。例えば、普段書きなれた漢字なのに、じーっと見ていると「あれ?こんな文字だったっけ?」という風に感じる瞬間がありますよね。視点を何かに一定時間集中することで、その構成要素をバラバラにすることを心理学用語でそういうのだそうです。

 よくわからないままにつくってしまっているイメージをうまくバラバラにすることができれば、それを上手に再構築させてやればいいのだそう。

 ふと、カラダは生まれつき硬いと思い込んでいたヨガを始める前の自分のことを思い出しました。ヨガと出会い、自分の体を見つめることで、ゲシュタルト崩壊がおきて、自分の体への認識が再構築されていったのかもしれません。ただ、見た目の思い込みはまだゲシュタルト崩壊できてなかったんですね。なんだか、ちょっと一年後の自分が楽しみになってきました。今年で44歳の私も老化の波は押し寄せてきてはおりますが・・・、それなりに生まれ変われるような予感がしています。

 本の最後の方に、こう書かれています。「どんな病気もそうですが、私はその人が「自分のカラダ、治ってよし」と心底許可を出せるかどうかが大切だと思っています。それは、今の自分の人生と、周囲の人間関係に対して、心底OKを出すということです。すると、たとえ病気であっても、その人は健康になれます。」と。

 自分の人生と周囲の人間関係に対して、心底OKを出す・・・ということが、出来ていないと慢性的な病気や不調はなくならないということですよね。多くの人が「変わりたいけど、変わるわけがない」と諦めているような気がします。それは、そうなっている理由は自分ではなく、他に原因があると思い込んでいるからなのだと思うのです。周りが変われば、自分は変われるのに・・・と不平不満があるから、今の自分の人生と人間関係にOKを出せない。

 悪い肩書きを良い肩書きに変えることができるのは、自分自身だけ。なのに、誰かが肩書きを変えてくれることを夢見て、現実逃避をしている。悪い肩書きを自分で捨てるのも、自分の過去の人生を捨てるみたいでなんだか怖いし不安がある。けど、現状には不満がある。

 だから、病気になったり不調になったりして、体は心のここが問題なのだとシグナルを送ってくれているのだとしたら・・・。病気がすべてネガティブなものだとは思えなくなりますよね。本にはこういう症状は潜在的にこういう心の課題が隠れているという表が記載されていて、なかなか興味深いものがありました。興味があるかたはぜひ読んでみてくださいね。

 自分の人生にも人間関係にも不満はないですし、昔からある肩こりや首のこりには「もう治ってよし!」と心底OKを出してあげようと思います。

 1年後の自分がどうなっているのか。今が正念場のような気がしています。合掌