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 コラム 

2015/12/31 「退行欲求に負けない」
 
 2015年も最後の日となりました。今年は自分が成長したのかどうか、ちょっと怪しいところがある1年でした。変化がある時って自分の成長が実感できるのですが、今年は大きなトラブルもないしそれほど変化もない1年だったので、いつもより成長を実感できなかったのです。でも、両親の病気とか死とか体の不調とか自身の病など変化が増えてくる年代ですし、大きな変化がないことは良いことなのかもしれません。そんなことを思った年末に読みたい本と出会いました。

 まだ本が入手できていないので、テレビ番組で紹介されただけの聞きかじり(?)ではありますが、久米宏の新書を紹介する番組で先日、加藤諦三さんの「悩まずにはいられない人」という本が紹介されました。著者の本は何冊が持っていまして、テレビを見て興味を持ち購入しようと思ったのですが、どこも売り切れ状態でした。やはりメディアの力ってすごいですね。

 その本には悩まずにはいられない人は「悩むことのほうが楽だから悩むのだ」ということが書いてあるそうで、今まで私も色んな方に接した経験で思っていたことなので納得しました。人のことはよくわかるじゃないですか「ああ、この人悩んでる自分が好きなのね」って思うことってないですか?悩む材料をわざと探してない?って思うことも。

 加藤さんは悩みとは「成長と退行欲求のせめぎあい」なのだといいました。何か上手くいかなくなったとき、人は悩みますよね。それって自分が変われば成長できるけれど、そうしたくない自分がいて、今の自分を変えたくない、相手が悪い、環境が悪い、でもこのままでは駄目、どうしたらいいんだって思うからです。成長すればいいだけなのに、なぜ出来ないのでしょう?成長ってエネルギーが必要ですし、リスクが伴うことを知っているからなのでしょうね。

 例えば小さい頃、自転車の補助輪を外すとき何度も転んでそしてバランスを覚えて乗れるようになったとき。怖いからと補助輪をはずさずにいたら、慣れれば出来るってこと体験できなかったですよね。でも最初はとっても怖かったし、転んだら怪我もしました。怪我をして痛かった怖かったという記憶は残ってしまいます。

 人はここは成長しなければならないとなったとき、過去の似た経験で感じた痛みや恐怖を思い出してしまいます。昔は天候や環境が変われば死に直結していましたから危険回避という自然な行為だったと思うのですが、現代では足かせになっているのだと思います。

 それに、成長したい、幸せになりたいと人はみな思うのに、なぜか不幸になるほうに頑張ってしまう人がいますよね。その答えを加藤先生は悩みに依存しているからだと言うのです。アル中の人が自分が幸せになるためには断酒したほうがいいいのに、なぜ飲んでしまうのか・・・。それはアルコールを飲んでいるとき現実逃避できるからではないでしょうか?アルコールを飲んで忘れたい問題があったはずなのです。

 だから、いつも悩んで行動しない人は悩んでるときに現実逃避できるからなのです。本当は悩んでないで一歩踏み出せばいい。嫌いな上司と仕事が出来ないなら辞めればいい。だけど、すぐに仕事が決まらないかもしれないとか、給料が下がるかもしれないと勇気が出せず踏み出せない人もいっぱいいますよね。悩んでることで隠している本当の問題が別にあるはずだと思うのです。

 夫婦仲が冷め切って家庭内別居状態なのに別れない人とかも、離婚手続きという問題を先送りにして目を反らしている問題が他にあるはずだと思います。

 子供のことで悩んでいるという方も本当にお子さんのことで悩んでますか?と思うのです。だって、子供というか人は自分の思い通りにならないものですから、「子供が勉強しない」とか「子供が結婚しない」とか、それが本当に悩んでることなのでしょうか?と思うのです。例えばですけれど、子供がいい学校に入れなかったら私が恥ずかしい・・・と本当は思っているとか、子供が結婚せずこのまま親のスネカジリのままだと自分たちの老後が心配なのでは?・・・とか。

 人によって違うと思いますが。

 もちろん、考えずになんでもかんでも辞めればいいって話ではなくて、自分が試行錯誤した結果、無理だと判断したのなら見切りをつけることも出来るし、自分が一生懸命に立ち向かって駄目だったときは潔く諦めるはずなのだと思うのです。

 現実問題に取り組めばおのずと答えは見えてくるものですから。

 でも人間は意志の弱い生き物だと思います。今日からダイエットしようと決心したのに差し入れでスイーツもらってしまって「いいや、明日からにしよう」って前言撤回したり、素直に謝ろうと思ってもいざとなると言葉がなかなか出てこなかったり、勉強しようと思ったはずなのに、机に向かった途端マンガを読んじゃったり。自分は成長して幸せになりたいと思っていたはずなのに「退行欲求」の方が強く引きずられてしまうものなのです。

 退行欲求が強いからこそ、弱い自分が耳元で囁いたときには強い意志を持って自分に向き合わなくてはいけないのです。自分の弱さを認めて、前を向かなくちゃいけないのです。成長は楽なものではないのかもしれないけれど、考えるより行動してみたほうがいい。

 子供は怖がらずに大人がやっていることを何でもやりたがります。それは失敗した経験がまだ少ないから。でもいつの間にか選ぶようになりますよね。もちろん、失敗することで大きな怪我を避けることが出来たり要領が良くなったり経験を重ねていくことで成長できる部分も沢山ありますが、知らず知らずに上手く面倒なことから逃げる方法いわゆる「悩み」を獲得していくのでしょう。

 人前が苦手という悩みは人から注目されて失敗して嫌われたくないという気持を隠しているのです。心の奥では「人から認められたい」という欲望があるのですが、それから目を反らして現実逃避しているのです。私も昔は人とすぐに仲良くなれたはずだったのですが、いつの間にか、自分からは話しかけられなかったりして、人見知りしてました。それは人から悪口を言われたのを聞いたり、目立つとそれだけ杭を打たれた経験からでした。今はかなり治ってきましたが、まだまだ現実逃避しようとしてしまうときがあります。

 人と関わらなければ傷つくこともない・・・けれど、友だちも増えないんですよね(笑)そのことに気付いて最近は、気の合わない人がいたり嫌われても仕方がないかなって思えるようになりました。その分仲の良い人が増えたりしてますから。

 弱いからこそ、人は強くなろうとするのだと思います。未熟だから成長しようとするのだと思います。そして努力して弱い自分に打ち克ったときに喜びや充実感を感じられるから頑張るのだと思います。

 悩みを感じたときは成長するチャンス!現実逃避せず退行欲求に負けずに自分と向き合っていきたいですね。

 2016年もどうぞよろしくお願い致します。 合掌