Yoga & Relaxation Salon in Otaru ~ Candrika ~
















 コラム 

2011/12/6 「旅と別れと」
 10月末から約3週間、インドのリシケシに行って無事戻って参りました。この旅行は1年前から決めていて、念願叶っての初インド旅行でしたが、「ヨガの聖地」といわれるリシケシは私が想像していたところではありませんでした。私にとっては「ヨガが出来る街」・・・でした。

 いつの間にか私の中でリシケシは簡単には行ってはいけない場所のような、敷居の高いところになっていました。私の知人、友人、多くの人が訪れていますが、詳しく話を聞いたりしたことは実は機会に恵まれずにあまりなくて、他人の旅行記やブログなどを読んだりしているうちに、どんどんインドへの期待感が高まり、そう簡単に行ってはいけない特別な場所になっていきました。

 昨年、本当にそうなのか行ってみよう・・・と思うようになり、1年間その思いを確かめて、そして実行することにしたのです。そんなにインドの先生は違うのか、インドのヨガは特別なのか自分の目で確かめたかったのです。

 でも、今年に入って本格的にチケットを手配したり、ビザの手配をしたりしているうちに、インドに行ったとしても、きっと私は何も変わらないだろうなぁ・・・と、なんとなく思っておりました。生徒のみなさんの期待を裏切ることになるだろうなぁ・・・と心のどこかで思っていたのです。

 どの土地であっても、スタジオであっても、先生次第というか、相性というか、自分が好きな先生かどうかというところが結局のところ全てであり、ヨガの聖地だから特別とか、すごいヨガができるとか、そういうところではないのだと・・・そう思ってはいました。そう思っていながらも、ちょっとは期待していた自分もいたりして・・・。

 数人のヨガの先生のレッスンを受けましたが、受けた先生たちは皆さんいい先生でしたし、滞在したアシュラムのヴィシュワジはもちろん大好きな先生ですが、でも、日本で日本語で学ぶ方が私には合っているのだと感じました。

 英語が全然話せなかったのも原因のひとつかもしれません。ちょっと勉強したぐらいでは、日本語と同じように自分の考えていることを表現できる訳はないし、先生が言っていることがわかったとしても、自分の思いを伝えることが出来ず、モヤモヤとした気持ちのままでした。

 英語が堪能であったなら、違った感想を持ったのかもしれません。それに、勝手に期待していたのだから、リシケシに責任はありません 笑。

 結局、私の人生観はほとんど変わらなかったと思います。もちろん、インドと日本の環境の違いや物価の違い、人種の違い、時間に関しての感覚の違いなどに驚くことは沢山ありました。改めて日本の良さ、日本人の勤勉さ几帳面さに気付かされました。

 日本の良さを実感出来たこと、いい意味で期待を裏切られたことがもしかしたら、ちょっとだけ私の人生観を変えたと言えるかもしれません。

 リシケシは安全でしたし、ボッタクリしようとする人もそれほどいないし、人も親切だし、いい街だと思います。車のクラクションとホコリっぽさを抜かせば・・・ですが。それほど広くないので数日で街の中が把握出来ますし、物価もとても安いので、旅の費用はかなり安く済みます。ヨガのレッスンも評判の良いところを回って、お気に入りのレッスンを受けるだけなら、2週間もあれば十分かもしれません。インドという土地をちょっと知って、ヨガをして、安全で安く滞在するという目的ならリシケシは最適な街だと思います。

 ヨガ初心者の人に沢山出会いましたが、もしかすると、ちょっと日本でヨガをしたことがあり、ポーズの名前など有る程度理解できて、太陽礼拝が出来る人にとっては、海外にいながら色んなヨガが安く受けられていいのかもしれません。

 実際、何度もリシケシに来る方もいますし、リシケシで暮らしている方もいます。私の場合はたぶん、行くとしてもあと1回ぐらいかなぁ・・・という感じです。それほど頻繁に海外旅行が出来るような身分ではないので、もしかしたら、もう二度と訪れないかもしれません。

 だけど、それは私自身の感想であって、インドでリシケシでやりたいヨガに出会える人もいるでしょうし、ついていきたい師と出会える人もいると思います。リシケシに行く必要がないとか、行った人が間違っているということではありません。あくまでも私自身が感じたことで、リシケシを否定している訳ではないということをここで申し上げておきたいと思います。もしかしたら、数年経ってまたリシケシを訪れたいと思うかも知れませんし・・・。

 そして、3週間の後、リシケシからタイのチェンマイに移動しました。リシケシからデリー空港へはタクシーで9時間ほどかかって移動したのですが、クラクションと渋滞と道の悪さと空気の悪さに疲れ、更にデリーからバンコクへそしてバンコクからチェンマイへ飛行機で乗り継ぎ、ようやくチェンマイの地を踏んだ途端、とてつもなくホッとしました。

 一昨年チェンマイを訪れた時には感じなかった安堵感を今回の旅でとても強く感じたのは、インドの混沌とした街並みに疲れていたからかもしれません。

 チェンマイではチェンマイで暮らしている友人とマッサージに行ったり、ご飯を食べたりして楽しく過ごしていました。滞在3日目の朝、昨晩から猫のサファイアの具合が急に悪くなり、病院に行ったところ、糖尿病と腎不全と肝機能低下で大変だ、早く帰って来て欲しいと夫からのメールで知り、急遽その日の夜に日本へ出発することにしました。

 もう16才だし、具合が悪くならないで欲しいと思っていましたが、まさか、現実に起こることだとは思ってもみませんでした。16才にしては毛並みも良く、もう一匹の猫といつもじゃれ合っていたし、ずっと元気だったので、このような事態をまったく想像していなかったのです。夫からのメールでも「いつもと変わらない様子で元気」だということだったので、すっかり安心していました。だから、私が家に着く前に亡くなってしまうとは頭の片隅にもなかったのです。

 何の因果なのか、私はサファイアを看取ることが出来ませんでした。猫への思いはブログでも語っていますので、ここでは多くは語りません。

 2日ほど早めて帰ってきたことで、私は仕事開始まで約6日間の自分を癒す時間が持てました。だから、最愛の私の猫は私のことを考えて旅行を堪能させてくれて、そして仕事復帰出来る時間を与えてくれたのだと、そう思っています。そして苦しむ姿を私に見せたくなかったのだと。

 猫と過ごした16年間は本当に色々なことがありました。どんなときも側にいてくれて、私を励まし、癒してくれました。笑顔をくれました。大好きでした。

 何故、旅行になんて出掛けたのだろうと後悔してクヨクヨするのは、サファイアとの時間を後悔することになると思います。幸せな時間を過ごせたことを大切にして私は前を向いて行こうと思っています。私のことを思って一緒に心を痛めた沢山の人に、この場を借りて感謝したいと思います。本当にありがとうございました。
 
  もう今年も1ヶ月を切ってしまいましたね。年の瀬を迎え、世間もあわただしくなって、心も騒がしくなる時期ですが、ヨガで心と身体のバランスをとってサファイアの分も元気に新年を迎えたいと思います。皆様もお体を大切に・・・。
 
 長い文章を最後まで読んでいただきありがとうございました。 合掌