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 コラム 

2013/1/23  「”の”の字の哲学」

 最近読んだ本、渡辺和子著「目に見えないけれど大切なもの」という本を読んで、沢山感銘を受けることが書かれていたのですが、その中でも「共感」という項目に書かれていた、「の」の字の哲学という言葉を初めて知り、これを今年の目標にしようと思いました。

 本の中には
例えば、夫が会社から戻ってきて、「ああ、今日は疲れた」と言った時に、知らん顔して、その言葉を聞き流したり、「私だって、一日結構忙しかったのよ」と自己主張したのでは、二人の間はうまくいきません。その時に、「ああ、そう、疲れたの」と、相手の気持ちをそのまま受け入れてあげることが大切なのです。友人が、「私、海外旅行に言ってきたの」と言えば、「あら、私もよ」と相手の出鼻をくじいたり、「どこへ、誰と」と尋ねたりする前に、「そう、旅行してきたの」とおうむ返しに言葉をそのまま繰り返して、相手と共感することが相手への真の優しさとなります。と書かれていました。

 あちゃ~・・・と思いました。私も夫が「疲れた」と言えば「私だって疲れてるよ」とか言ってましたし、友達の話で相手の話の内容をすべて聞く前に自分の話に持っていったり・・・そういうこと、沢山思い出して、私って全然相手に共感してない、真の優しさの足りない人間だなぁ・・・と反省しながら読みました。

 よく悩みなどを「言ってくれればよかったのに・・・」という場面が小説やドラマの中や、日常でもあるとは思いますが、それって、よくよく考えてみれば、言える様な状況じゃなかったということなんですよね~。いつも話をしても最後まで聞いてくれないとか、自分の意見を押し付けてるとか、言ったって共感してもらえないと思うから言えないってことなんじゃないかと思うのです。

 自分が悩みを打ち明けるときはアドバイスを求めているときもありますが、大抵はただ話を聞いて、共感してもらいたいという時でした。「そうなんだ・・・」って言ってくれるだけで、自分で話しながら、解決策が浮かんできたり、自分の心の整理がついたりして、心が軽くなったものです。

 だから、自分もそうだったように、私自身も、人にアドバイスしようとかおこがましいことは考えずに、共感するようにしよう、そう思いました。そう簡単にはいかないとは思いますが、今年一年「の」の字を胸に行動していこうと思います!

 それ以外にも、色々と心に残るお話が沢山ありました。あとひとつだけ紹介しますね。「許しがもたらすもの」という項目について書かれていたことです。

 
許すということは、損をすることなのかも知れないと思う。だから、難しいのだ。

 という文から始まります。私もつい最近まで、そう思っていて、嫌いな人、自分を傷つけた人を許せずにいました。なぜ、私が相手のためにそう思わなくてはいけないのだろう?私は悪くないのに。相手には憎まれるだけの理由があるのだから、相手を許すなんて損しちゃう・・・。そう思っていました。

 最近になって、許すということは自分のためだということに気付きましたので、人を憎むという感情を冷静に見ることが出来るようになって、呪縛から解放されつつありますが、まだ完全ではないと心のどこかで感じています。相手を許すのが悔しいというか、相手にそんな価値がないということをどこかで思っていて、でもそうやって許せないでいる自分にどこかで嫌悪感を感じています。

 渡辺さんが周囲の人たちの無理解に腹を立て、不機嫌だったときに一つの詩を与えてもらったのだそうで、その詩が紹介されていました。

 
もしあなたが、誰かに期待した
  ほほえみが得られなかったら
 不愉快になる代わりに あなたの方から
  ほほえみかけてごらんなさい
 実際、ほほえみを忘れた人ほど
 あなたからのそれを
 必要としている人はいないのだから


 そして、文はこう続きます。

 
貰えるはずのものが貰えなかっただけでも「損した」と思うのに、こちらがそれを与えるなんて、これでは"ダブルの損"だと、私はその時思ったものである。
 ところが、やがて気づかされたのは、ダブルに損をすると「得になる」ということだった。"シングルの損"だけにしておくと、残るのは、腹立たしさや口惜しさだけであり、折あらば仕返しをと考える自分だけである。ところが思い切ってダブルに損をすると、そこには、ほめてやりたい自分が残り、「よかった」という満足感が残るから不思議だ。


 なるほど、と思いました。確かに、相手に何か不愉快になるようなことをされたり、裏切られたりしたとき、同じ思いを味あわせてやりたいという復讐心が芽生えますが、そこで相手が望むようなやさしい気持ちを表すことが出来たら、そんな自分をほめてあげたくなります。

 許すことは簡単ではないけれど、許すことによって自分を苦しめている罪悪感から解放されることができ、相手を支配したい、コントロールしたいという欲から逃れることが出来て、自由になることが出来るのだと思います。相手がどんな人であろうとも、自分はブレない!と自分に自信が持てるのだと思うのです。

 前にもコラムかブログで取り上げましたが、相手を許すことで成長できるんですよね。

 これが国単位で出来たなら、日中関係も良くなるんでしょうが・・・笑。そんな大きなことは置いておいて、まずは自分の身近な人を許すことから始めていこうと思います。 合掌